●●保育園ってなあに?●●

「保育園」と言っても、認可無認可があり、設置方法も運営方法もさまざまです。
このストーリーでは一般には分かりにくい「保育制度」を福祉の視点からご紹介します。
場所は園子さんの自宅へ移ります。

「いまコーヒーを入れるわ。それまでにこのHPを見ててね。」


「浦安保育フォーラム」?これって何のサイトですか?あっ!私の顔が出ている!」

「いいのいいの、フィクションの世界だから。浦安保育フォーラムというのは市内の公立保育園7園の父母会連絡会組織で、そのHPが公式サイトよ。各園父母会のHPもあって、いろいろと勉強になるわよ。実は私、HPの作成に関わっていたの。」

「へぇー、こんなサイトがあったんですか。知らなかった。園子さんって、コンピューターに詳しいんですね。尊敬しちゃう!」


 「父母会の役員内での連絡はメーリングリストを使っているの。父母会の役員を始めて、パソコンを始めたのよ。もう7,8年前のことだけどそのころはワープロ全盛だったわね。HP作成は、便利なツールがあるから今はとっても簡単よ。ところで、亜樹さん、保育園のことだけど、「保育園」ってそもそも何であるか知っている?」

「保育園ですか?あまり深く考えたことがなかったけど...働いていて子どもの育児ができなくて...代わりに預かってくれるところ...かな?」

「一般的にはそうかな。最近の保育って就労や子育て支援の側面だけ強調されているけど...ただ、保育園には就労で「保育に欠ける」保護者だけではなくて、病気で育児が困難とか、経済的理由とか、母子・父子家庭とか様々な事情を抱えた保護者がいるの。保育園は「児童福祉施設」であることはそのためなのよ。」

「私のお義母さんに、以前子どもを保育園に預けて復職するって話したら、「保育所になんかに、こんな小さいうちから預けてもまで」って言われて...その時はショックでした。」

「そうね。亜樹さんお義母さんくらいの世代では、いまほど保育園が一般的な存在でなかったし、保育園に対しての誤解や偏見が多かった時代。今でもまったくないとは言えないわ。」

「3歳までは母親の手という「3歳児神話」、今でも根強いみたい。」


「3歳までは母親の手で育てないと、発達に影響が出る」とか「保育所に預けると愛情に飢えて性格がひねくれた施設児になる」といった、誤解や偏見そして差別的な意見は、年配の人の間で根強いわね。でも「3歳児神話」は実証的に否定されているのよ。例えば0歳児から同一の保育園で保育を受ける場合、在園期間が長いほど子どもたちの発達上マイナスの傾向は見られず、むしろプラスに評価されるという研究結果があるのよ。これはうちの3人の子どもを保育園に預けた上での結論だけど、少子化・核家族化の現代では、閉鎖的で孤立的な環境で子育てをするよりは、子どもたちにとっては保育園で多くの仲間と切磋琢磨しながらのびのびと育つほうが幸せかなと思っているわ。」

「それを聞いて安心しちゃった。今度お義母さんにしっかり説明しなくちゃ。ところで、保育園っていつから始まったんですか。」


入園してからの話しになるけど、お義母さんに保育参観に来てもらうのが一番だわね。保育園の生き生きした子どもたちの姿を見れば一発で誤解が解けるわよ。
そうそう、保育園の歴史だけど独立の保育所としては1900年に東京の四谷に鮫川橋と呼ばれた貧民街、今で言うスラム、があってそこに私立二葉幼稚園(現在の二葉保育園)が華族女学校付属幼稚園の保母であった野口幽香子さんらによって設立されたのが日本で始めて言われているの。その保育園を発展させたのが徳永恕さん(ゆき、1887-1973)という人。女学校に通う途中にあったそのスラムを見て一生の仕事を貧民救済と決心したんだって。卒業と同時に開園したその保育園に入りで一生を保育に捧げたそうよ。」

「鮫川橋って、確か岩波文庫の「最暗黒の東京」に出てましたよね。学生のときに読んだ記憶が...。1900年というと保育園って100年以上の歴史があるんですね。「保育園」ですか?あまり深く考えたことがなかったけど...働いていて子どもの育児ができなくて...代わりに預かってくれるところ...かな?」

「それから、第二次世界大戦までは保育園は「託児所」として民間の社会事業施設としてその数を増やしていったんだけど、法的な施設して位置づけられたのは、戦後になってからなの。戦後の混乱期、男も女も誰もが食うに食わずで、生きていくために働かなければいけなかった時代、新しい憲法が制定されてそして続いてできた児童福祉法によってようやく「保育園」は国および地方公共団体の責任の下に設けられるようになったの。」

「保育園の原点は福祉なんですね。救貧施設が出発点であるがために、後々まで誤解や偏見が残ったのですね。」


「そうね。福祉施設であることが就学前児童の教育施設である「幼稚園」との大きな違いね。幼稚園と保育園の違いはまた後で説明するからね。さて、産声を上げたばかりの保育園だけど、今のように条件が良くなかったの。まず設置数が少なくて乳児保育どころか幼児の入園が困難だったそうよ。その頃の最低基準は乳児10人当たり保母が1名だって。今は3名だけどそのころの保育って本当に大変だったそうよ。そして、今は完全給食や時間外保育が当然のようになっているけど、浦安市でそれが実現されたのはここ10年のことなの。」

「園子さんって、昔のことよくご存知なんですね。ところで最低基準ってなんですか。完全給食って完全休職のことですか?」


「実は私の母が昔保母だったの。結婚出産で辞めちゃったけど。だから昔のことを知っているのよ。娘の私が父母会にはまっちゃったのは、なんだか因果を感じるわ。
そう、「最低基準」ね。う〜ん、順を追って保育制度を説明したほうがいいかな。
さっき、「児童福祉法」があると言ったけど、児童福祉法には保育に関連して三つのポイントがあるの。」

@ 市町村には「保育にかける」子どもを保育所に入所させて保育する義務がある(24条)
A 国は保育所の運営にあたり最低基準(配置基準や施設基準)を定め、維持向上を図る義務がある(45条)
B 最低基準の維持のために国と自治体は必要な費用を負担する義務がある(50〜55条)

「保育園への入園というのは自治体の義務なんて初めて知りました。ということは待機児がいること自体、本当はいけないことなのですね。」


「そうね。違法とまでいかなくても、就労等で家庭保育が困難な状態「保育に欠ける」場合、貧富の差なく保育しなければいけないことがポイントなの。社会福祉法(旧社会福祉事業法)という法律があって、これは社会福祉全般を総括する親分みたいな法律なんだけど、その子分が「児童福祉法」ね。それが1998年に改正される以前は、保育園への入所は市町村長の「措置」だったのよ。だから保育園の子どもは当時、行政では「措置児」として扱われていたの。」

 「措置児ってなんだかとても硬い感じ。それじゃ法律が改正されてから措置ではなくなったのですか?」


「そう。行政が福祉サービスの内容や費用そして入所を決定する「措置制度」から利用者が福祉の事業者と対等な関係の上でサービスを選択できる「契約制度」へ制度の大転換が行われたの。「支援費制度」って新聞で見たことがあるでしょ。これは障害者福祉の利用制度なんだけど、これなんか「契約制度」の一環だわ。「社会福祉基礎構造改革」のもとで改正されたんだけど、それからだわ、次から次へと保育に規制緩和が。それは別にしてそう、保育制度を三つのポイントにまとめると、市町村は「保育にかける」すべての子どもを保育する義務があり、国は最低基準を定め保育水準の維持向上の責任を持ち、国と自治体が最低基準を維持するための費用を負担する責任があるという、公的な責任を明確に示しているのが日本の保育制度の特徴かな。
児童福祉法の1,2,3条はとっても大切よ。すっかり暗記しちゃった。」

1条 すべて国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ、育成できるように努めなければならない。
 2 すべての児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければいけない。
2条 国および地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。
3条 前2条の規定するところは、児童の福祉を保障する原理であり、この原理は、すべての児童に関する法令の施行にあたって、常に尊重されなければいけない。

「ところで「最低基準」ってなんですか。最低があるんだから「最高基準」があったりして。」


本当に最低基準がサイコーだったらと思うわ。「最低基準」は、正確には「児童福祉施設最低基準」といって子どもの身体的・精神的および社会的発達のために必要な生活水準を確保するために、施設の設備や運営についての「最低限度の基準」のことなの。その基準自体はナショナル・ミニマム(最低保障)の思想に沿ったものなの。また、その最低基準が保育園の「認可基準」にもなっているわ。

「最低基準は、国が保障する「最低限度」の基準ということですよね。それじゃ保育園はその最低基準の基準で保育をしているのですか。「3歳までは母親の手という「3歳児神話」、今でも根強いみたい。」   

「最低基準の基準で保育をしている認可園なんか聞いたことがないわね。というのは、そもそも最低基準が定められたのが1948年の戦後の復興期なの。その頃の基準が半世紀以上経過してもあまり改善されていないんだから、だから本当に「サイテー基準」。

「その最低基準にはどんなことが定められているのですか?」


「具体的には、職員の配置と施設の設置基準が中心ね。職員の配置だけど最低基準だと保育園には保育士と嘱託医そして調理員だけなの。浦安市の公立保育園には全園に看護士と栄養士が配置されているけど、他の市ではそうでないところもあるのよ。他市で給食のメニューが統一献立になっているところがあるけど、栄養士が全園で配置できないからなの。」

「給食に関連してですが、浦安市で完全給食が実現されたのはここ10年の話って 聞きましたけど、「完全給食」って何ですか。」


「今の保育園では想像できないけど、以前は3歳児以上で主食が給食されなっかたの。だからその頃はお弁当箱にご飯を詰めて持っていたのよ。他市でいまでもそうしてる
ところは結構多いのよ。近隣だと千葉市なんかそう。別途主食費を徴収しているところもあるし。 その主食も給食することを完全給食と呼ばれているのよ。」

「えっ、そうなんですか!どうせ、おかずを作るんだから主食も同じ手間だと思うんですが。 」


「その背景にはいろいろあって、う〜ん、ちょっと専門的になっちゃうんだけど、保育園の運営費、運営する経費のことね、それは、国が定める「保育単価」(子ども一人当たりを保育するのにかかる費用)というものをベースに算出されるんだけど、3歳児以上の保育単価に主食の費用が含まれていないからなの。」

「それじゃ、完全給食の費用は、どこで負担しているんですか。」



「その分は、市町村が負担してるのよ。これは給食に限った話ではなくて、最低基準で職員配置の基準があるんだけど、ゼロ歳児が3対1、1,2歳児が6対1,3歳児20対1、4,5歳児30対1と規定されているんだけど、市町村によってはそれに上乗せして配置しているところがあるの、浦安市では1歳児が5対1、4歳児が25対1なんだけどその上乗せ分の費用も自治体の負担なの。複数担任制も浦安市で実施してんだけど、その非常勤職員の費用もそうね。施設の設置基準も同じよ。最低基準には保育室と医務室、調理室そしてトイレの設置だけで、ホールや事務室、保育士の更衣室すら基準にないんだから。」

最低基準って本当に最低限なんですね。保育室の広さにも基準があるんですか?


「もちろん。一人当たりの面積では、たとえば2歳未満児ではたった1.65u なのよ。ベビーベッドをやっと置ける面積なの。2歳児以上で1.98u、これはロッカーとかの備品が含まれていないから実際はもっと狭くなるわね。諸外国と比較しても日本の保育室の狭さというのはひどいものよ。それに輪をかけて、待機児が多いところでは、定員を超過して受け入れているから、ひどいところでは廊下に布団を広げて寝かせている園があるそうよ。」

「待機児が多い浦安市でも定員を超過して受け入れているんですか?」



「もちろんそうよ。定員の超過なんだけど、ちゃんと定員という受け入れ枠があるのにそれを超えてもよいというのはおかしな話だけどね。以前は125%の限度があったんだけど、年度途中でそれを超えてもよくなったのよ。さすがに125%を超えて受け入れをしている保育園は県内ではごく限られるけど、定員超過は県内で300園と待機児とともに増えているわね。浦安市では110%に限度を置いているけど、やはり問題は多いそうよ。個人的には保育の質を考えるとそれぐらいが限界かなと思っている。」

先ほど、最低基準が認可基準でもあるとのことですが、認可園と無認可園があるのですね 。」

「そう、保育園には認可保育園と無認可保育園とに分けられるの。認可されるの条件として、最低基準が満たされていることが必要で、認可の権限は市町村ではなくて
都道府県知事にあるのよ。
まず、認可保育園だけど「設置者」によって公営(区市町村)と私営(社会福祉法人、学校法人、NPO,株式会社)があるの。つい最近まで保育所の設置は地方公共団体と社会福祉法人に限定されてきたんだけど、例の構造改革に伴う規制緩和によって、それ以外の株式会社とかNPO法人とか学校法人にも開放されたの。 」

「海園の街保育園って、ベネッセがやっていると聞いたことがあるのですが、そこなんかそうですか?」


「ええそうよ。海園の街保育園は公設民営方式で2003年に開設された公設民営の保育園で、県内で初めて株式会社に運営を委託された保育園なの。3歳児未満児を対象にしていて、園庭がない保育園でも有名ね。」


「園庭がないんですか!公立で?」


「そうよ。これも最低基準の規制緩和で近くに公園があれば代替可能になったの。
いくら待機児解消のため設置を急いだと言って、周辺には空き地がいくらでもあるのに。
子どもたちにとって、自由に遊べる園庭は心身の発達のうえでとても大切だと思うの。 近所の公園に連れ出す保育者の負担だって大変ね。運動会ができないなんてかわいそう。」

「看板が同じ浦安市立でも、実際に運営しているところが違うところもあるのですね。」



「そう。浦安市には現在認可保育所が10園あって、民設民営の保育所は社会福祉法人が運営している当代島の私立「みのり保育園」が1園、公設公営の保育園が7園公設民営の保育園が2園という構成よ。認可保育園には公立私立問わず運営費が公費として支出されるの。」


「保育料は公立と私立では違うのですか?」


「いいえ、認可制度の下では同額よ。私立でも保育料の徴収は市町村が行っていて、入所決定も公立も私立も市町村が行うの。保育料はそれほど極端な差はないけど市町村によって違いがあるわね。」

「浦安市では保育料はどのくらいなんですか?」



「う〜ん、これも説明すると長くなっちゃうんだけど...。基本的なことは知っておいたほうがよいわね。児童福祉法では、保育所の運営費について、家計の負担能力に応じて費用を徴収できることになっているの。いわゆる応能負担ね。
さっき話したとおり保育所の運営に必要な経費「保育所運営費」は、厚生労働省が定める「保育単価」(児童一人当りの保育にかかる費用)に基いて算出されるの。その保育所運営費から、国の保育料徴収基準額(精算基準に基づく保護者負担金)を除いた残りを国が1/2、県と市町村が1/4ずつ負担するというのが建前なんだけど、その保育単価が最低基準をベースにしているものだから、それだけでは足りないのでその持ち越し分は市町村が負担しているの。

「あれ、国の保育料運営費って一般財源化されたって新聞で出ていたのですが。」



「そうそう、大切なことを忘れていたわ。一般財源化される前は、国が1/2残りを市町村と県が1/4ずつ負担していたのよ。一般財源化されることによって、国と県で負担分(補助金)が全額カットされ一般財源化(交付金)されてしまったの。でもそれは公立を対象にされたもので、私立は従来どおり。

「それって、自治体にとって大変なことじゃないですか?」



「 保育所運営費の国庫補助金削減分は「交付金」で自治体に補填されるんだけど、「交付金」自体が使い道が特定される補助金(特定財源)と違って使い道が自由な交付金(一般財源)というのが問題なの。」


 「そうすると、その交付金が保育以外に使われる可能性があるということですか?」



「そう。また、削減分が全額交付金で補填される保障はなくて、実際実質マイナスになってしまった自治体では、保育料の値上げに踏み切ったリ、保育以外の子育て支援サービスを縮小せざるを得ないところも出てきているそうよ。その一般財源化の問題だけど、国では最低基準分の費用を運営費の補助で保障する
基本的な方針があったんだけど、補助金が削減されることになると最低基準の担保としての存在意義がなくなちゃうことなの。そのことはナショナル・ミニマムの否定につなると危惧する声もあるわ。

最低基準そのものがなくなるということかしら。」


「そうね。「国が責任」という公的責任の存在自体否定されようとしているから。
話を戻すわ。国の保育料基準額を(3歳未満児で最高8万円、非課税世帯で9千円) そのまま保育料としている市町村はなくて、その多くは国基準より低く設定し、差額を負担しているの。なぜかというと、国の基準が高すぎて現実的ではないから。市町村はそうやって、国基準の保育料を軽減して、保護者の所得に応じて保育料を設定しているの。」

[「そうすると、どの程度国基準の保育料を軽減するとかという自治体の方針や自治体の財政状況から、保育料が自治体によって異なるというわけですね。
これから、保育園の入園申し込みに行く予定ですが、年度途中は無理そうで、もしだめならば、無認可の保育園に子どもを預けることになりそうですが、無認可の保育料はどのくらいなんですか?」

「無認可の保育園だけど、無認可保育園とか認可外保育園、簡易保育園とかで呼ばれているわね。無認可ということは、その保育園が最低基準を満たしていなくて公的な補助を受けていない保育園(東京都の認証保育園や神奈川県の横浜保育室は補助あり)のことを指しているんだけど、無認可とはいえ都道府県知事への届出が必要なの。」

「以前無認可保育園での死亡事故や虐待が問題があって、それが心配で心配で。」



「無認可保育園もピンからキリまでよ。中には単に待機児の受け皿としてではなく「共同保育所」のように、認可園以上の先進的な保育実践を行ったり、産休明け保育や時間外保育、一時保育、障害児保育をいち早く実践しているところもあるのよ。浦安市にはないけど。一方、利益主義第一で保育の質なんかなおざり、親からの利便性のみを売り物にしている園があることは確かね。いずれにせよ、運営への公的な支援が一切ないことは問題ね。待機児の受け皿としての役割や夜間保育・休日保育など公的保育の不備を補う補完的な役割を果たしていることは確かなことで、無認可とはいえそれなりの公共性をもっているのだから。
保育料もピンからキリまで。浦安市は「簡易保育園通園児補助金」制度があって、一律3歳児未満児には17,000円、以上児には9,000円の補助がでるのよ。保育園の選び方はまた改めて説明するけど、とにかくじっくりと慎重に選ぶことが大切。だって、公立だと乳児一人当たり月に50万円費用がかかるそうよ。それを無認可では5万とか6万の保育料でやってしまうところが...どんな保育をやっているのか想像できないし、想像したくない。」

「園子さんもお子さんを無認可保育園にあずけたことがあったの?」



「うちは、3人短期間だけど預けたことがあるわ。同じところで。とにかくそのころの送迎が大変だったわよ。上の子が公立保育園で下の子が無認可保育園の時期があったし。保育料がすごかったわ。今となっては懐かしさが先にたつけどね。
でもやはり、そこと公立園では比較にならないくらい保育水準に格差があったことは確か。設備や保育士の配置そして実際の保育の面でも...。でも現場の人はみんなとてもがんばっていたわね。下の子が年子だったから一年あけて預けたことがあったんだけど、職員が是員入れ替わっていたのにはびっくり。その園は市でお勧めだったのだけど。」

「お〜い、ただいま。あれお客さん!?」



「お隣に越してきた方よ。この人、うちのだんな。」



「お邪魔しています。今日、隣に引っ越してきました村田と申します。今まで、園子さんから、保育園のことについていろいろと教えていただいて...これからもよろしくお願いいたします。」


「いいえいいえ、どういたしまして。うちの女房、子どものことや家のことをほったらかしにしてまで、父母会に入れ込んじゃって。でもやたらと保育については詳しいから、何でもわからないことは聞いてください。」

何言っているの。結婚するとき「子どもができたら、一緒に子育てしようね。」って言っていたくせに、いざ子どもが生まれると全部私まかせ。子どもたちと一緒にお風呂に入ることぐらいで、「俺は子育てに協力している」って外では大きな顔をしているのよ。外面だけ良くて口ばっかり。本当にいやになっちゃう。

「それではそろそろ。いろいろとありがとうございました。」




「明日、お時間空いている?もしよろしければ、入園手続きについてお話できるから。ご主人もご一緒にいかが?」


 「えっ、よろしいんですか。それじゃ喜んでお邪魔しちゃうかな!?
今日は 本当にありがとうございました。明日またお邪魔しま〜す。

〜つづく〜

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